新選組密偵 山崎烝

  • 2009/10/28(水) 10:11:53


土方歳三
沖田総司を題材とした小説は

世の中に数え切れないほどありますよね




でも、今回お話しする物語は、

けっこう有名な隊士でいながら、主役としては

あまり上げられたことのない人が主役の小説なんですよ。





新選組密偵 山崎烝
島津孝子著/廣済堂文庫





はい、そうです。

タイトルの通り、山崎烝が今回の主役です





こちらは1997(平成9)年に

新人物往来社から一度刊行されています。

その後2002(平成14)年に、

加筆・改筆・再編成して文庫化されたのが、この本ですよ。






ここでの山崎烝は、本名として「林」姓を名乗っています。

でも土方の命令で「山崎」に変名するんですね。






しかも烝は「ジョウ」と読むので、

「ススム」読みしている人にとっては、

少々読みづらいかもしれません






そして、この山崎には妻がいます。

この奥さんが彼を「烝(ジョウ)」と呼ぶんですよね。

妻の存在といい、「ジョウ」読みといい、

イメージがだいぶ違っています。






これまでの小説の中の山崎烝といえば、

土方が絶大な信頼を寄せていて、

山崎も土方のことを尊敬し、土方の影のように働く男

というイメージですよね。






でもここでの山崎は、土方に不信感を抱き、

ときには持論をぶつけて、土方に抗議します。

もちろん相手の方が立場が上だし、

一癖も二癖もある土方なので、いつも論破されて

従うだけなんですけどね






最初のうちは、黙々と

密偵の仕事をこなしていきます。

彼の仕事の数々がここでは読みどころでしょう。






どんな使命を帯びて彼が行動するのか、

最初はわからなかったりもするので

その辺りを読み取るのが面白いですね。





でも山崎は医師・松本良順を通して、

次第に西洋医学に目覚めていきます。






次々と仲間を失っていくうちに、

医学への道に進みたいと思うのですが、

けっきょく土方の指示に従い、密偵の仕事は続きます。






その密偵の仕事は澱(おり)になって、

山崎の身体を蝕んでいきますが、

あることから土方の本心を感じ取り、

決意を新たにするのです。






物語の大まかな流れは史実通りですけど、

土方と山崎の関係でもわかる通り、

作者のオリジナルな部分が全面に出ているので、

次の場面が全くわからず、そこが楽しみではあります。





ただ、今までにない土方と山崎の関係なので、

ふたりの関係に期待しすぎると

チョッと物足りなく思うかもしれません。






でもそんな思いで読み進んでいくと

物語終盤での土方の言葉に、

少しだけ感銘を受けたりしてしまいます。





その一言で、

土方の彼に対する思いがわかる場面ですので

最後まで諦めず読み進めてほしいところです



新選組密偵 山崎烝
島津孝子著/廣済堂文庫



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この記事に対するコメント

ドラマ「燃えよ剣」の中で中野誠也さんが演じていて、数々の新選組隊士の中で好感の持てるキャラクターだった気がします。
情報収集や防諜は暗く陰湿なイメージがありますが、不思議とそうしたイメージからは距離のあるキャラクターで描かれていますね。実際はどうだっか興味のあるところです。
「正規軍の会津藩」よりも最前線に居た新選組、更にその新選組の中でも(剣戟の場面ではわかりませんが)最前線の立場、その精神力の強さは計り知れないものがあります。
機会を作って読んでみたいと思います。お知らせありがとうございました。

中野誠也さん

允@遊撃隊さん、こんにちは^^

私も中野誠也さんの演じた山崎さんは大好きです。
中野誠也さんといえば昔、中野であった「新選組の映画を観る会」で
ゲストとして招待されていました。
お会いできるのを楽しみにしていましたが、お仕事がお忙しく出席されず、
結局、一度もお会いできなかったのが残念です。

でもいつも画面で観る山崎さんと中野さんが重なり、
今でも「燃えよ剣」を見るたび、懐かしく感じています。

この本の山崎はイメージ的には少し違うと思いますが、
よかったら読んでみて下さいね^^

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