「一刀斎夢録」を読んで

  • 2012/02/21(火) 10:48:54

浅田次郎氏の描いた斎藤一。

タイトルは「一刀斎夢録」





実は1年程前に、すでに読み終えていたのですけど、

ちょうど記事アップしようと思っていた時、

あの「3.11」がありました。






内容がすごく重いお話なので

アップする機会を逃していましたが、

最近になっていろいろなところで

この本のことを聞くようになり、

私も記事にすることにしましたよ。






この本は、浅田次郎氏の新選組三部作。

その最後の作品ということでしょうか。

浅田氏の描く新選組物語の特徴は、

子母沢寛著の「新選組始末記」などにあるような

聞き書きスタイルを取り入れているところですね。







この物語では、メインは斎藤一本人が、

梶原稔(かじわら みのり)という近衛師団中尉に

自らの過去を話しているという形を取っています。






斎藤一が自らの過去を語る?





それが私の中の斎藤一のイメージと一致しなくて、

最初からチョッと違和感がありました。

斎藤一といえば寡黙で、明治になってからも

自らを語らずという感じでしたから…






でも物語の構成上それは必要なことで、

また「なぜ自らの過去を語るのか?」は

物語の中でも斎藤自身が語っています。






この物語の中では、斎藤一は自らを正当化することもなく、

反対にいかに卑劣な冷たい人間だったかを語ります。

剣を持つものが彼の話を聞くことで嫌気が差し、

剣を放棄することを恐れて、

梶原に剣を放棄しないことを約束させるほどです。






この物語では「龍馬暗殺」の実行犯も彼なんですよ。

斎藤一が関わったすべての事件について語っていますが、

どれも明るい話題ではありません。






そんな中でチョッと嬉しいのは、

斎藤が土方を高く評価しているところでしょうか。

彼の命令ならどんなことでもしてしまうくらい、

彼については絶大なる信頼を置いているようです。





また沖田総司についても剣の腕前を認めていて、

沖田ファンにとっては、嬉しくなる場面でもあります。





この物語でのキーマンは、市村鉄之助。

彼は土方歳三の遺品を、

日野の佐藤彦五郎(歳三の義兄)に届けるために、

土方の命令で戦地の箱館を脱出したことで有名ですよね。






この物語では、斎藤一のただ1人の弟子として

登場しています。

時には斎藤にボコボコに殴られ、蹴られながらも、

健気に彼に付き従う姿が痛々しいです。






斎藤一に対峙し、

まるで鏡に映ったもうひとりの斎藤のように

(この物語では斎藤は左利きなので)

狂いなく斎藤の剣技を模写していきます。





そんな二人の、必然とも偶然とも思える再会。

斎藤はある決意をして、

再会した鉄之助に会いに行くのですが、

お互いの裏の裏をかいた結末に、

心苦しくもなっていきます。






浅田次郎氏の描く新選組物語は、どの作品も

哀愁や悲しい愛情が感じられます。

心悲しく感じる部分は

共感を与えることにもなるのでしょうが、

今回に限っては、この結末には辛すぎるものがありました。






もちろんこれは私の感想で、

感じるものは人それぞれだと思います。

でも、命にかかわる辛いことを体験したばかりで

まだその傷が癒されていない場合には、

この本を読むのはキツイかもしれません。






さて、重い結末の話で終わるのは不本意なので、

最後はチョッと軽い話題で閉めたいと思います。

「一刀斎夢録」の一刀斎とはなんのことでしょう?





一刀斎の「一」の部分を「はじめ」と読んで、

逆に並べると「斎刀一(さいとうはじめ)」

警視庁での斎藤一の隠語なんだそうですよ。





そこだけ「なるほど〜」と思いました。


一刀斎夢録 上下巻
浅田次郎著



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この記事に対するコメント

読みましたか〜

私は最後のほうがまだ読めずにいます。
ほんとあとちょっとなんですけのね。
読むのにこんなに体力がいるのは初めてです(^^;)
読みきることができれば私も免許皆伝になるのかな、と思うのですが、内容がハードすぎる。。。
浅田次郎さんの作品でここまでハードな作りも珍しいのではないかと思います。
311はリアルタイムで中継を見ていたので、阪神の時とあわせてしっかりトラウマになってしまいました。
やはりまだ読めそうにないです。
面白かったのはダンダラの解釈でした。
アリだと思いましたよ(^^)

読みました

味のりさん、こんばんは。

そういえば味のりさんも、同じ頃読んでいましたよね。
やはり読めなくなりましたか。

無理にとは言いません。気長にトライしてみて下さいね。

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